ついに判明 -- その2〈前編〉

2015.05.29 Friday 15:40
SGHの窓の外にあるツツジ。
その左側にもう一本、花を咲かせる木があった。
とても変わった小さな白い花の集まりで、
いつか名前を調べようと思っているうち
ある日突然バッサリ切られてしまった。
残っているのは、高さ80cmほどの細い切り株。
理由はわからないが、大家さんか管理組合の決定だと思う。


淋しくなって数年、ある春の日のこと。
最近、その切り株の周りを虫が飛んでいると相方が言う。

見に行くと、木には今までなかった小さな穴が1つ空いていて
なんだかその穴から激しく視線を感じる…。


 覗いて見ると

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 光ってる !



 奥の方で光ってる !!

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 これ絶対 目!目!目!


相手は複数いて、安全な場所からじっとこちらを見ているようだ。
一体何者なのかを穴に侵入して調べる勇気はない。
この日はこれにて終了した。

翌日、スタッフが外の掃除から興奮して戻って来た。
ぷりぷりの黒いおしりがその穴から出ていた!と。
しかもそのおしりは毛でふさふさしている!と。


皆の証言をまとめると
「ずんぐりむっくりしてる」「黒い」「ふさふさ」
「とにかく丸っこい」「羽小さい」
これに「枯れ木に棲む」を加え調べると・・・




「クマバチ」だった。


bc4d8783697478b3110513ceffffa323_s2.jpg kumabachi2.jpg
参考画像


とても温厚なハチで、ただひたすらに蜜を集める。
人に危害を加えることはないという。
(こちらから手を出せば別です。)
英名は「Carpenter bee」。直訳「大工バチ」。
大工さんのように木で家作りをするため。なるほど。
満開のツツジをめざしてやって来たら、お隣に格好の木材があったのだろう。

しかし、「クマバチ」と言えば、あの「みなしごハッチ」に登場した、
世にも恐ろしい乱暴者。

hk2.jpg
超イメージ画

多くの人の心に残っているのではないだろうか。
でもそれはまったくの誤解だったのだ。


向かいのバーのオーナーさんの目にも留まったようで
危ないハチなのではと心配してらっしゃる。
説明すると、見守り隊となって毎朝クマバチに声をかけてくれた。

丸坊主の木に、いきいきと元気な生命がどこからかやって来て
にぎやかになった。
切られてしまった木には、まだ次の仕事があった。


同居人がいるような、うれしい数週間だった。
花の時期が終わり、彼らは去って行き、穴は空き家になった。
毎年ひそかに次の来訪を期待している。


「ついに判明 -- その2〈後編〉」につづく
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autor : sey-gee-hee
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